いわき秀英高校 青田雄太郎さん
今回僕がこの原稿を書いているのは、これまでお世話になった先生に書いてほしいと言われたからでもあり、学校での発表の準備の為でもあります。ですが、一番は僕がいわきの受験生全員に伝えたいことがあるからです。
あらかじめ断っておきますが、上からものをいうつもりはないので、できれば最後まで読んで欲しいです。いわゆる「アドバイス」的なものは上から目線に聞こえがちで、僕もあまり好きではありませんでした。なので、この類のものを読みたくない方の気持ちは痛いほどわかりますが、同じ「アドバイス」嫌いの人間が書いたものだ、と是非わりきって読んでほしいと思います。
東大に受かる人は天才だ。自分とは違う。そう思っている人も多いと思います。まずはそこの誤解を解くために、僕自身の話をしましょう。
僕はいわき秀英中学校に1期生として入学しました。当時は70人前半位の入学者がいましたが、勿論主席ではありませんでした。授業が始まり、中学校1回目の定期試験が行われましたが、その順位はまあ悲惨でした。なんと42位。中学校全体の人数が70人前半ですから、半分以下ですね(笑)将来の東大生とは到底思えないと思います。
僕がこんな成績を取った理由は単純で僕が勉強しない凡人だったからです。この結果から僕の脳みそが決して凡人以上ではないことがわかります。ここで伝えたいことは、自分の可能性の大きさに気付いてほしいということです。きれいごとに聞こえると思いますが、現に成績下層の人間がここまで来ることができたのです。こんな奴ができるなら俺も、私もできるかもしれない。そんな希望を見出してほしいです。
さてここからは、自分の可能性を拡げ、成長させる僕なりの具体的な方法を提示したいと思います。その方法もいくつかありますが全部伝えたいので長くなります。ご了承ください。
1つは留学です。留学の大きな意義は世界観の拡大にあります。『井の中の蛙大海を知らず』ということわざがありますが、留学はまさに「井」を離れ「大海を知る」ことです。自分がいかにちっぽけな存在か、自分の持っている世界観がいかに狭くあてにならないものかを教えてくれます。また人は触れた考え方の数だけ賢く謙虚になれるので他人の意見の吸収すべき点を見極めて取捨選択し自らの力にする、そんな人になれると思います。留学は刺激的で学びが多く、楽しいものです。そしてそこで得た経験は宝であり、本当に価値のあるものだと思います。
それでも海外が怖いと思う方は友人と一緒に留学することを勧めます。日本人の知り合いが1人いるだけでもかなり安心するからです。しかし友人と一緒に留学する場合、どうしても同じ日本人同士で話してしまうため、英語力の向上は望めないので注意してください。一方、自分の可能性を最大限伸ばしたいという方は単身で海外に乗り込んでみてください。案外どうにかなるものです(笑)大事なことなので二度言いますが、留学は是非してください。
次に勉強についてです。勉強だるいですよねー。微分積分とか使わねぇよとか僕も思っていました。ここでは今だからこそわかる勉強の重要性について話したいと思います。勉強のやり方は様々な方の助言を最終的に自分に合ったものに作り変えていくべきで、他人のやり方を何も考えずにパクるべきではないと僕は思っているので、ここでは触れません。
単刀直入に言います。勉強は将来必要になるかもしれないから必要であり、重要なのです。
現時点で夢や目標を持っていない人は、言うまでもないですよね。自分が将来やりたいことを見つけたとき、例えば医師を志した時に学力が足りずに医学部に進学できないということがあり得ます。さらに受験の中の話だけではありません。これから書くことは夢や目標を持っている人にもあてはまります。
勉強は学問の中での経験です。留学についての段落でも前述しましたが、経験は宝です。留学に限らず、いい経験も悪い経験もしっかり消化すれば、絶対に力になります。ですから、今は使うことが無いと思っても間接的に経験として役に立つことがありうるわけです。
またこんなん使わねぇよと断定すること自体が非論理的です。実際に僕はとても後悔しています。僕は生態系や環境保全を主なテーマに大学で活動する予定で微分積分は使わないと勝手に思い込んでいましたが、使うんですよ。生態系で微分積分。気になる方は数理モデルあるいはロジスティック曲線で検索!検索!要するに専門分野のことも大してわかっていないやつが使うor使わないを決めるなということです。皆さんには自分の可能性を狭めてほしくありません。僕を反面教師にしてください。
そんなん知っとるわ!という声もあるでしょう。そうなんです。勉強したほうがいい、そんなことわかってますよね(笑)こんなことを言っていますが、僕は本気で勉強より目先のゲームや趣味のほうが大事だというのであればそれでも構わないと思います。別に勉強をしなくても食べていくことはできますから。ただ、後悔の無いように生きてください。勉強に関しては以上です。
長々と申し訳ないです。もう終盤なので最後まで読んでいただけると幸いです。
最後は自分の可能性を拡げる最高の学び舎である大学に入る方法についてです。受験と聞くとセンター試験や二次試験、あるいはその両方の合格ラインを越えて希望の大学に合格するというイメージがあると思いますが推薦・AO入試という入試制度も忘れてはいけません。そこで僕から大学進学を考えている人にお願いですが、推薦・AO入試は是が非でも受けてください。マジで受けてください。これは本当に重要なのでかなり語気を強めたつもりです。
推薦・AO入試を受けることで損はありません。これは断言します。考えてもみてください。自分の第一志望校を2回受けることが出来るんですよ。単純に考えればチャンスは2倍です。また大抵の第一志望校は自分の実力よりも少し上の大学(のはず)です。もしかしたら届かないかもしれない、と思っているならチャンスです。推薦・AO入試は自分の夢と可能性を売り込みに行くセールスのようなものだからです。
勿論推薦・AO入試では志望校が高ければ高いほど求められる夢と可能性、そして学力のレベルも上がりますが、どの大学でも一般入試で求められる学力のレベルは必要とされません。学校の先生が反対しても自分の志望校への熱意をアピールしてなんとしてもその大学に入りたいのだと訴えてみてください。生徒思いの先生であれば必ず受け入れてくれます。
これからはセンター試験に代わる新テストが導入されますが、あんな理不尽かつ公平性に欠けるテストで大学に合格するなんて酷な話だと僕は思います。これはあくまでも予測ですが、新テストが導入されてしばらくは推薦・AO入試を受けた人の一人(?)勝ち状態になると思います。そして一般入試の対策とは異なり、推薦・AO入試の対策は自分の興味分野に関係する力を伸ばし、活動するだけなので勉強よりも身が入ると思います。
もうすぐ受験でそんなことしている暇はないという方でも本当に推薦・AO入試は受けてほしいです。前述のような活動があった方がいいのは事実ですが、最も必要とされるのは、自分の興味分野と志望する大学に対する憧れと情熱です。それさえアピールできれば、合格する可能性は十分にあります。なので、しつこいですが、ガチで推薦・AO入試は受けてください。
以上で僕の伝えたいことはほとんど伝えました。最後に受験が迫って勉強を頑張っている方にアドバイスをしようと思います。
大人はよく「受験は人生の重要な分水嶺だ」「受験で人生の8割が決まる」となんかすごい怖いことを言います(笑)でも、そんなことはありません。あってたまるか。あんな紙に書かれた文字や数字程度のカスみたいなもので人生の8割も決まるなんてクソゲー過ぎます。それが本当なら死んだほうがましです。
しかし実際はそうじゃない。睡眠時間を削って、精神をすり減らして、泣きながら勉強をする必要なんてありません。自分がそうしたいなら、そうすべきだと思うなら止めませんが、それが自分の本意でないのなら、僕はそこまでする価値は勉強にないと思うのでやめた方がいいと思います。なので、どうか勉強をしているときもその目的を見失わずに勉強をしてほしいです。誰しも詳細は異なりますが、自分が幸せになるために、自分がやりたいことのために勉強しているはずです。あくまで勉強は手段です。そのことを忘れずに、心身に支障をきたさない程度に頑張ってほしいと思います。
こんな長ったらしい文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。ここには自分が言いたいことの全てをぶつけたつもりです。こいつの言っていることには賛成できない、それでもいいと思います。しかしながら、この文章を読んで、前向きになれた、ためになったと思ってくださる方が1人でもいれば望外の幸いです。ここまで読んでくださった方に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。頑張ってください。